要約③ Fukuda & Fukuda(2001)

 

Fukuda & Fukuda(2001)
本稿では、ミニマリストモデル、特に「分散形態論」の枠組みを用いて、特異性言語障害(SLI)児の言語分析を、健常児のそれと比較し検討した。一般的にSLI児は、連想記憶による語彙習得は出来るが、規則を用いて動詞や文を処理することには問題があるといわれている。そこで、語彙を語彙使役(回す)、自発動詞(回る)とし、規則を使役動詞(立たせる)、受け身動詞(押される)とし、その動作が行われている絵カードを見せ、それを産出させるタスクを行い、日本語母語のSLI児がどのような形態素処理に困難を示すのかを調査した。その結果、SLI児は、記憶による自発動詞、語彙的使役動詞は処理できるものの、規則を用いることが必要な受け身動詞、使役動詞を処理するのに困難が見られた。一方で、健常児は、受け身動詞と使役動詞を過剰使用することが見られ、SLI児が規則の処理が難しいということが支持された。